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◆スターダストメモリー 第4話  ★精霊の歌☆ 制作者 なをき

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 白く輝く森で、少年と少女が戯れている。
いつもの夢、そしていつもの光景。
「大丈夫だよ、怖がらないで・・・」
「うっ・・・うん・・・」
 彼女の胸には、スノーバーニーの子供が抱かれている。
 少年は、そっと子ウサギの頭をなでてあげた。
 はじめは警戒していた子ウサギも、少年に心を許したのか、怯えた様子は見せず、それどころか頬ずりをしてきた。
「僕、野生のウサギに触ったのは初めてだよ。これも君のおかげだね」
「そんなことないわ、だって、この子は優しい人にしか心を開かないから」
 子ウサギを挟んで向き合う二人の子供たちは、本当に幸せそうだった。
「ねえ・・・?」
「うん?なに?」
「私、あなたが大好きよ・・・」
「え・・・!?うっ・・・うん・・・ありがとう・・・」
「うふふっ・・・」
 少年の顔が赤面する様子を楽しげに見つめる少女。
 しばらくの沈黙の後、少女はか細い声で言った。
「ねえ・・・?これからもずっと私のことを忘れないでいてくれる?」
「うん!もちろんさ!」
「ずっと、私のことを好きでいてくれる?」
「うん!」
 少女の問いに力強く答える少年。
「うれしい・・・約束だよ」
 彼らの瞳は汚れを知らず、限りなく純粋だった。
 そして彼らは信じていた。
 この幸せがいつまでも続くのだと・・・


 純白の世界の終わりと共に、どこからか歌声が聞こえてきた
 それは本当に美しく、この世のものとは思えないほどに。
 クラースは重い瞼をこじ開け、ベットから起きあがり歌声の主を探した。
 どうやらそれは外から聞こえているようだ。

 

手で触れてしまえば消えてしまう星くずのように

あなたの思い出が色あせてしまっていても

私の想いは変わらない・・・

幾星霜の時間(とき)を刻んでも・・・

ねえ思い出して・・・大切な思い出を・・・

ねえ思い出して・・・大切なやくそくを・・・

いつまでも忘れないで・・・大切な貴方・・・・

 

「やあ、おはよう」
「あ、クラースちゃん。おはよう」
 カリンが歌を歌い終えたのを見計らってクラースが声をかけた。
「あ・・・もしかして待たせてしまったのか・・・?」
「ううん、いいの。だって、私が早く来すぎてしまっただけだから」
「でも寒くなかったかい?」
「うふふっ・・・心配してくれてるんだ。やっぱりクラースちゃんは優しい人だね」
「あ・・・いや、そんなことは・・・」
 クレスたちに前までのクラースは確かにあまり他人には好感的ではなかったが、今はそんなことはない。
「でも大丈夫よ、私にとってはこれが普通なの」
 少女は相変わらず夏服のような薄着を着ている。
 普通なら疑問に感じるところだが、なぜかクラースはそれが当たり前のような感覚を覚えた。その理由まではわからないが。
「そうか・・・それにしても、カリンちゃんはすごく綺麗な歌声をしているんだね」
「クラースちゃん、私の歌が聞こえたの?」
「え?ああ・・・でもどうして?」
「この歌はね、普通の人には聞こえないのよ」
「本当なのかい?」
「うん」
 少女が嘘を言っているようには聞こえなかった。
 確かに少女が歌っていた場所とクラースが寝ていた場所とでは、位置的に考えると声が届くとは思えない。まるでその歌声は心に直接響いたような感じだった。
「これはね、精霊の歌なんだよ。」
「!・・・精霊の歌・・・?」
 精霊と言う言葉を聞いたクラースは驚いた。
「うん、そうよ、精霊と心を通わせられる人でなければ、この歌は聞こえないのよ。クラースちゃんは、きっと精霊さんたちと仲良しなんだね」
「え・・・!?」
 まさにその通りであった。クラースは召還術士として、その能力を持っていたのだ。
「あの・・・」
「うふふっ・・・」
 屈託のない笑みを見せる少女。
 クラースは彼女にそのことをもっと聞いてみようとしたが、それはためらわれた。
「ねえクラースちゃん。お山に登るのは早いほうが良いと思うの。支度ができたら行きましょう。私はいつでも準備ができているから」
「ん?あ・・・ああ」
「私はここで待っているわ」
「家の中に入らなくていいのかい?」
 さすがに寒すぎるのでは?と思ったクラースが少女に問う。
「え?う・・・ううん、私、暖かいところにいくとのぼせちゃうから・・・その・・・」
「そうか、わかった、無理強いはしないよ」
「うん・・・ごめんね」
 少女は遠慮しているわけではないようだ。
 その様子は彼女の態度ではっきりわかる。
「あ・・・ところでカリンちゃんからもらった青い石なんだけど、これはとても大切な物なんじゃないのかい?やっぱり君が持っていた方が・・・」
「ううん、それはクラースちゃんに持っていてほしいの」
「いいのかい?」
「だって、そうすれば私はいつもクラースちゃんと一緒にいられるから」
 自分だと思って持っていてほしいという意味だとクラースは理解し預かっておくことにした。
「わかった。じゃあしばらく預かっておくね」
「うん」
「じゃあ、ちょっと待っててくれるかい?なるべく早く戻ってくるから」
「うん、待ってるわ」


 宿の中に戻ったクラースはまずは仲間たちの部屋を訪ねた。
 しかし、そこには皆の姿はなく、すでに起きて食事の用意をしているようだった。
「やあ、おはようみんな」
 食堂でミラルド・アーチェ・バートの3人を見つけたクラースはそのテーブルへ向かい、朝の挨拶を交わす。
 食事の用意はすでにできているが、どうやらまだ朝食をとっていないようだ。
 おそらくクラースが来るまで待っていたのだろう。
「あら、おはようクラース」
「おお、クラース君か、おはよう」
「ちょっと〜どこ行ってたのよ」
 朝食のお預けをくらっていたアーチェのご機嫌はやや傾いているようだ。
「ああ、すまない、実は今日登る山のカイドを頼んだ人と話をしていたんだ」
「え?今来ているの?」
「ああ、外で待たせてある」
「だめよクラース、お客様を外でお待たせするなんて。一緒に朝食をとっていただきましょう」
 ミラルドは立ち上がってそう言った。
「あ、待ってくれ。彼女は外で待っていたいそうなんだ」
 ”彼女”という言葉に反応するミラルド。
「え〜〜ガイドさんって女の人だったの!?まさかあんた浮気とかしようとしてるんじゃないでしょうね!?」
 真っ先に声をあげたのは、やはり揚げ足取りのスペシャリストアーチェ様だった。
 そして、すかさずつっこみを入れたのはバートだった。
 彼のチョップがアーチェのピンクの髪をめり込ませた。
「こら、大人をからかうんじゃない」
「痛いわね〜」
 頭を押さえて非難の声を上げるアーチェ。
「おいおい、なんでそうなるんだ・・・」
「ふ〜ん・・・そうなんだ・・・女の人なんだ・・・」
 心なしかミラルドの視線が冷たいような気がする。
「だから、違うって・・・」
「まあ、いいわ、そういうことにしておきましょう」
 そうは言ったもののミラルドはまだちょっとだけ怒っているのかもしれない。
「あ〜、え〜と、そうだミラルド、今日の朝食は何だい?」
 なんとか別の話題を出そうとするクラース。
「今日の朝食はフレッシュベジタブルとハムのサンドイッチよ」
「おお、うまそうだな」
「じゃ、いただきま〜す」
 早速アーチェは、標準の2倍以上の具をパンに挟み始める。
 彼女の食欲は寒いところでも旺盛のようだ。
「ところでクラース君、朝食を終えたらすぐに出発するのかね?」
「ええ、そのつもりです。できるだけ明るいうちに終わらせた方が良いので」
 バートの問いに答えるクラース。
「え〜こんな朝から行くの〜?まだ寒いじゃん」
 サンドイッチを食べながらアーチェが文句を言う。
「ああ、それなんだか、登山は私とガイドをしてくれる女の子の二人だけで行こうと思ってるんだ」
「え?なんで?」
「実は昨日オリジンから炎の守りを渡されたのだが、あいにくこれは2つしかなくてね」
「そうなんだ・・・じゃあしょうがないわね」
 残念そうにミラルドが言った。
「でもさ〜炎の守りがあるならあたし一人で十分じゃん。ぱーっと行って来てあげよっか?」
「なるほど、私の娘ならホウキで空を飛んで行けるからな」
「いや、それはやめたほうがいいでしょう。もし吹雪いて視界が悪くなった時のことを考えると・・・それにこの剣は私の手で封印したいのです。」 
「そうか・・・すまないなクラース君、我々は完全にお邪魔だったな」
「いえ、こんなことはないですよ」
 他のメンバーがたわいもない雑談をしていると、ミラルドは食事を中断して席を立った。
「ミラルド、どこへ行くんだ?」
「やっぱりお客様をお待たせできないわ。私ちょっと行ってくるね」
 そう言ってミラルドは食堂を出ていこうとする。
「そうか、彼女は髪の青い小さな女の子だ」
「あははっ、なるほどねぇ、クラースって実はロリコン気があったのかー」
 アーチェの茶化しに、再びバートのチョップが炸裂した。


 ミラルドが外に出ると、そこに美しい青い髪の少女がいた。
 後ろ姿しか見えないが、おそらく彼女がそうなのだろうと思いながらミラルドは少女に話しかける。
「こんにちは、あなたがガイドをしてくれる方かしら?」
「うん、そうだよ」
 そう言ってクルリと振り返る少女。
「え!?」
「こんにちは、ミラルドちゃん・・・久しぶりだね・・・」
 いつもの優しい笑顔を見せる少女。
「あなた・・・まさか・・・カリンちゃんなの・・・!?」
 少女カリンの姿を見た、ミラルドの表情は大きく変化した。
 驚き、それが多くをしめていた。
「うん、そうだよ。ミラルドちゃん、私のことを覚えててくれたんだね」
「どうして・・・どうしてあなたがここにいるの?それに、その姿・・・どうして子供のままなの?」
「ミラルドちゃん、あなたにお願いがあるの・・・・聞いてくれないかな・・・?」
 そう言ったカリンの表情はどこか切なげで悲しそうだった。




                                             続く



あとがき

 みなさん、お久しぶりです。
はうっ!(石をぶつけられた)
あいたたた・・・ごめんなさい〜さすがに1年近くもさぼったらみんなだって怒るわな・・・
でも今シーズンの冬が終わる頃までは何とか完結させます。(たぶん)
このお話はもうちょっと、続きます。
では次回もお楽しみに!

                


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